ペタンク日本代表から監督に。世界に通用する選手を育てるという夢〜後編〜

前編はこちら

(以下後編になります)

子どもたちにはどのように指導をしている?

Itsuki
ソレイユクラブで実際にジュニア選手の指導をする際に、意識していることや、心がけていることなどはありますか?
佐野さん

子どもたちの中には個性が強かったり、仲間とコミュニケーションをとるのが苦手な子どもたちもいます。

そのため合同練習では、同じパターンの基礎練習を繰り返しおこなうことが有効になってきます。

以下のメニューをソレイユジュニアクラブでは順番におこなっています。

①準備体操
②ルーティン動作の確認
③基礎練習(ポワンテとティール)
④練習ゲーム
⑤掃除
⑥反省会
子どもたちには、日々合同練習を通して個人で頑張ることが3つ、そしてチームで頑張ることも3つ設けています。
①ルーティンを確立させる
②イメージする
③落とす位置を明確にする
佐野さん

一つ目は投球するまでの動作を一定にし、習慣化させるためにおこないます。

次は成功投球を想像して、イメージ通りに投げることです。

そして最後に、自分の考えた着地点に正確に落とすコントロールを習得することです。

①戦略を相談する
②投球前の声掛け
③ナイスビアン!と仲間を褒める
佐野さん

次にチームで頑張ることです。

一つ目は、場面に応じてポワンテなのかティールなのかチームで相談して決めることです。

チームで決めた作戦は全力でプレーします。

二つ目は、仲間が投球する前に声をかけて激励することで、仲間のモチベーションを引き上げます。

最後は、見事成功投球を決めた仲間を讃えることです。

喜びを共有することでチーム力はさらにアップしていきます。

失敗してしまった時は、「大丈夫!」と声掛けをすることも大切ですね。

佐野さん

私自身選手として仲間と共に戦ってきたからこそ、ペタンクはチームプレーの競技であることを強く認識しています。

仲間を助けて、仲間に助けられてお互い信じ合ってプレーすることが大切です。

佐野さん

また、ジュニアクラブに新しく入ってきた子どもたちに最初に教えるのが、「ルーティンワーク」です。

サークルの入り方から始まり、足のスタンス、シャドー(素振り)、成功球のイメージ、腕の振り方、手首の返しなど、一連の動作を最初に身につけます。

ジュニア選手にとっては、ルーティンを身につけることが、最大のメンタルトレーニングにもなります。

練習の時から落ち着いて成功球をイメージし、一球一球を大切に投げることを習慣化させることで、集中力も少しずつアップしていきます。

監督・コーチとしてのやりがい

Itsuki
ペタンクの監督コーチをする上で、選手時代にはなかった喜びややりがいなどはありますか?
佐野さん

ペタンクを始めたての子どもたちは最初はとても緊張しています。

ですが少しずつ上手になり、良いプレーができた時の満面の笑顔には本当に癒されますね。

子どもたちは徐々に試合でも勝つことの喜びを知るようになり、大人にも勝てるほどの実力を身につけていきます。

2018年のジャパンオープンでは、ソレイユのジュニアチームが全国制覇を成し遂げました。

また翌年2019年には厳しい選考会を戦い抜き、日本代表の4人の選手が全て私のジュニアクラブの選手だったんです。

私も監督として出場しましたが、この経験は感無量でした。

ソレイユジュニアクラブから全国制覇チームが生まれた(2018年ジャパンオープにて)
ソレイユジュニアクラブから全国制覇チームが生まれた(2018年ジャパンオープにて)
佐野さん

またある時、私のクラブチームのペタンクが大好きな少年が、中学生の時に大病を患いました。

大手術をし成功しましたが、長い間寝たきりの生活が続き、足にまひが残っていたので、歩けるようになるか分からなかったのです。

ですが彼は決して諦めませんでした。

また大好きなペタンクができるよう、一生懸命にリハビリを継続したのです。

そして手術から576日ぶりに立って、ボールを投げることができるようになり、彼は見事に復活したのです。

佐野さん

私はペタンクが持つ素晴らしい力に感動しました。

他にも多くの場面で、日々ペタンクの指導を通して子どもたちの成長の一助となっていることを実感しています。

これは指導者でしか味わうことのできない醍醐味ですね。

これからの目標について

Itsuki
最後に、佐野さんのこれからの目標を教えていただけますか?
佐野さん

今ソレイユジュニアクラブでは、小学校低学年だったり、ペタンクの経験が浅い子どもたちがたくさんいます。

海外選手と互角に戦うためには、ちょっと時間がかかります。

しかしペタンクを通して子どもたちの成長を見守ることは、とてもやりがいのあることで、私自身の生きがいでもあります。

なのでもうしばらくジュニアのコーチとして頑張ろうと思います。

なので現在の目標は、今の子どもたちを日本のトップジュニア選手に育てることです。

とても綺麗なフォームを習得しているジュニア選手
とても綺麗なフォームを習得しているジュニア選手
佐野さん

そして今度こそ国際大会で予選突破し、入賞してもらいたいです。

また岡山県下に、そして全国にペタンクのジュニアクラブを増やしたいですね。

どんなスポーツ団体でも組織的にジュニアの育成に取り組んでいます。

しかし残念ながら今のペタンク組織ではそれができていません。

このままではペタンクの未来がありません。

これからのペタンクの未来のために、みんなでジュニアを育成しましょう。

自分がペタンクをする楽しみよりも、監督としてさらに大きな喜びを味わってほしいと思います。

佐野さん

またソレイユジュニアクラブは、2011年に2度目の再結成をしてから結成10周年を迎えました。

ソレイユジュニアクラブでは今までに約50名のジュニアを指導してきました。

またその中で、日本代表として国際大会に出場した選手が8人います。

ペタンクに関しては全国でも有数のジュニアクラブであると自負しています。

しかし小学校を卒業して中学校に入学すると、ペタンクを続けるメンバーが減ってしまいます。

多忙な中学高校時期に両立してペタンクを続けていけるよう、ペタンクだけではく子どもたちの成長も見守っていけたらと思います。

これからもペタンクを通して、たくましく成長していく子どもたちをサポートしていくつもりです。

ソレイユジュニアクラブが、この先もずっと輝き続けるクラブでありたいですね。

まとめ

今回のペタファイルでは、岡山県でジュニア選手の監督をされている佐野さんへインタビューをさせていただきました。

佐野さんのペタンクとソレイユクラブへの熱意がとっても伝わってきましたね。

現在ペタンクでは全国的に技術指導者が不足しています。

ペタンク初心者が競技レベルを目指すには、やはり指導者が必要になります。

佐野さんに続いて世界と戦える選手を育てる指導者が、全国にこれから増えていくことを僕も心から望んでいます。

佐野さんは日本代表として世界大会で活躍した国内トップ選手から、次なるステージとして監督兼コーチを選び、新たなペタンクの楽しみと喜びを見出されていました。

今回はソレイユジュニアクラブの監督兼コーチをされながら、ペタンクの普及とレベルアップを目指して活躍されている佐野裕二さんに取材させていただきました。

ペタファイルでは不定期ではありますが、引き続き国内のペタンクを盛り上げている熱いペタンク愛好家を、僕なりの視点からインタビューしていきます。

それではまた!

-Yuji Sano-

1990年に岡山県清音公民館に勤務していた時、生涯スポーツを担当していたことがきっかけでペタンクと出会う。その後仲間たちと猛練習に励み1999年第4回ジャパンオープンで優勝。2009年には地元総社市で世界と戦えるクラブを目指し、「ソレイユペタンククラブ」を結成。その後日本代表メンバーとして国際大会に出場した経験をもとに、ペタンクの普及とジュニア選手の育成に力を注いでいる。現日本ペタンク・ブール連盟理事、選手強化部長。

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